親の家事や通院の付き添いを家族だけで続けるのが難しくなったら、介護保険の相談と、保険外サービスの検討を分けて進めます。「保険が使えないから全部自費」と急いで決めず、まず必要な手助けを具体的にし、相談先で利用できる支援を確認しましょう。依頼前の確認項目と問い合わせメモをまとめました。
最初に、困っている用事を具体的にする
「親の世話をお願いしたい」だけでは、必要な人手や時間が伝わりません。本人が困っていること、家族が今していること、続けるのが難しいことを分けて書きます。親の希望も聞いて、頼みたい作業を一つずつ整理してください。
- 家事:どの部屋の掃除、何人分の調理、どんな買い物か。
- 外出:目的地、出発から帰宅までの予定、移動方法。
- 通院:院内の付き添いだけか、自宅からの同行も必要か。
- 身の回りの介助:どんな動作に、どの程度の手助けが必要か。
- 時間:何曜日の何時から、どれくらいの頻度か。
これは相談内容をまとめるための例です。挙げた作業がすべて介護保険外になるという意味ではありません。保険の対象になるか、地域の支援を使えるかは、本人の状況やサービス内容に応じて確認します。
介護保険や地域の支援で相談できることを先に確認する
介護の相談をまだ始めていない場合は、親の住所を担当する地域包括支援センターへの初回相談から進めます。すでにケアマネジャーがいる場合は、追加で必要になった用事と、家族が手伝える範囲を伝えて相談してください。
保険外サービスを検討するときも、介護保険のサービスを使える可能性や、自治体・地域の生活支援を確認してから比べます。家族が契約先を決める前に、利用中の支援との役割分担を整理しておくと、同じ作業を重ねて依頼することを避けられます。
候補は4つの入口から探し、同じ条件で比べる
最初から1社に絞らず、親の住所を担当する相談先と民間サービスの両方から候補を集めます。地域によって利用できる支援や名称が違うため、下表は「必ず利用できるサービス一覧」ではなく、探す入口と確認点です。
| 探す入口 | 向いている相談 | 先に確認すること |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター・ケアマネジャー | 介護保険、総合事業、自治体支援を含めて役割分担を整理したい | 利用できる制度、地域資源の候補、相談後に家族が確認する先 |
| 自治体・社会福祉協議会などの地域資源 | 日常の軽い家事や外出支援を地域内で探したい | 対象者、地域、作業範囲、料金、担い手、緊急時にできないこと |
| 介護事業者の自費サービス | 利用中の介護サービスと連携しながら不足する時間・作業を補いたい | 保険内外の時間・作業・料金が別に説明されるか、ケアマネジャーとの共有 |
| 自費介護・家事支援・付き添いの民間サービス | 通院待ち時間、家族分を含む家事、長時間・単発の支援を相談したい | 対応地域、最低時間、身体介助・送迎の可否、研修体制、補償、追加費用 |
厚生労働省が2026年5月11日に周知した手引きでは、本人・家族のニーズを把握し、保険内で対応できることを確認したうえで、複数の解決策や候補を整理し、利用開始後も状況を確認する流れが示されています。候補名だけでなく、サービス内容・料金・利用方法・事業者情報を同じ項目で並べてください。
保険外サービスは、作業内容と料金を契約ごとに確かめる
保険外サービスには、家事の支援、外出の同行、見守りなど、事業者ごとに異なるサービスがあります。「保険外だから何でも頼める」とは限りません。資格や体制が必要な対応、送迎、身体への介助なども、受け付けられる範囲を具体的に聞いてください。
掃除を頼む場合も、本人の部屋だけか、家族の共用部分も含めるかで作業は変わります。通院なら、車での移動、院内の付き添い、帰宅後の支援を分け、誰がどこまで担当するかを確認します。
料金は、1時間の単価だけで比べない
- 最低利用時間と、延長する場合の料金。
- 交通費、出張費、送迎などの追加費用。
- 早朝・夜間・休日の加算と、予約できる時間帯。
- 定期利用の条件、担当者変更時の対応。
- 日程変更・キャンセルの期限と料金。
- 立替えがある場合の上限、精算方法、領収書の扱い。
例えば通院の待ち時間が延びた場合、延長料金がどこから発生し、誰に連絡して了承を得るかを確認します。家族が支払う場合も、親に内容を説明し、月にどれくらい利用する予定かを一緒に考えてください。
通院の付き添いは、出発から帰宅までで見積もる
院内だけの付き添いと、自宅からの同行では、依頼する時間も作業も変わります。予約時刻だけで見積もらず、出発の準備、移動、受付、待ち時間、診察、会計、帰宅までを順に書き出してください。以下は編集部の比較用メモです。実際の料金は事業者の見積書で確認し、金額が決まらない項目は「未確認」と残します。
| 確認する費用 | A社 | B社 |
|---|---|---|
| 見積もる時間 | 開始_時/終了_時 | 開始_時/終了_時 |
| 基本の利用料 | 税込_円 | 税込_円 |
| 移動・出張の費用 | _円/含まれる | _円/含まれる |
| 待ち時間・延長 | 単位_分/_円 | 単位_分/_円 |
| その他の加算 | 内容_/税込_円 | 内容_/税込_円 |
| 予定どおりの総額 | 税込_円 | 税込_円 |
基本料金に交通費などが含まれる場合は、重ねて足さないようにします。タクシー代、駐車料金など別途精算する費用と、診療費・薬代など医療機関等へ支払う費用も、見積もりに含まれるかを分けて聞いてください。
予定より長くかかったときは、「何分ごとに、いくら増えるか」「次の予約と重なったら誰が引き継ぐか」「家族へ連絡がつかないときはどうするか」まで確認します。料金の上限だけでなく、支援が終わる時点と引き継ぎ先を決めておきましょう。
同じ条件で問い合わせる文例
次の文は編集部が作成した問い合わせ例です。必要な箇所を書き換え、親本人と共有範囲を確認してから送ってください。
親の通院への付き添いを相談したいです。 希望日:_月_日 依頼する範囲:自宅で合流/院内で合流 → 帰宅/家族へ引き継ぎ 予定の開始・終了時刻:_時~_時 移動手段:_ 本人が必要としている手助け:_ 利用中の支援との分担:_ この条件で対応できますか。 税込の見積総額と、含まれる作業・含まれない費用を教えてください。 待ち時間が延びた場合の加算単位と、終了時刻を超えた場合の対応も確認したいです。 変更・キャンセルの期限と費用、当日の連絡方法を、書面またはメールで案内いただけますか。
受診そのものの準備は、通院に付き添う前の持ち物・伝えること・帰宅後のメモで確認できます。買い物だけが負担なら、宅配・移動販売・買い物代行の使い分けも比べると、依頼したい作業を絞りやすくなります。
比較表・問い合わせ文例の編集日:2026年10月18日。金額とサービスの対象範囲は、利用前に各事業者へ確認してください。
介護保険と組み合わせるなら、説明と請求を分けて確認する
厚生労働省は、一定の条件の下で介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いを示しています。利用するサービスの内容や費用を分けて説明してもらい、ケアマネジャーなどと調整してください。厚生労働省の通知を確認する。
同じ事業者に頼む場合も、「どの時間が介護保険のサービスか」「どの作業が保険外か」「それぞれいくら請求されるか」を聞きます。分からないまま追加料金を了承せず、契約書・見積書の説明を受けてください。
当日の報告と、予定外のことが起きた場合を決める
作業後に家族へ報告してもらうなら、本人の了解を得て、報告内容と連絡方法を決めます。本人の様子、終えた作業、次回までの確認事項を分け、必要以上の私生活の情報を共有しないようにしましょう。
親が不在だった場合、体調が悪そうな場合、依頼していない作業を求められた場合に、誰へ連絡し、どう対応するかも確認します。鍵を預けるなら保管・返却方法、破損や紛失が起きたときの窓口と補償条件も契約前に聞いてください。
2候補の費用と依頼範囲を比べるメモ
見積書で確認した金額を入力すると、「予定する1回のサービス料+毎回かかる固定費」と月の利用回数から月額見込みを計算できます。延長、休日、駐車、立替など回数や時間で変わる費用は自動計算に含めず、条件欄へ記録してください。入力内容は外部へ送信されず、ブラウザを閉じると残りません。
介護保険外サービス 2候補比較メモ
例は架空です。実際の見積書・契約書の税込額を入力してください。病名、薬名、口座番号、鍵の場所などの機微情報は入力しないでください。
候補A
1回:未計算/月額:未計算
候補B
1回:未計算/月額:未計算
問い合わせの段階では、作業を説明するために必要な情報から伝えます。病歴や本人確認書類などの提出を求められた場合は、目的と提出先を確認してから、事業者の案内する方法で扱ってください。
見守りサービスとの違いも確認する
安否確認や緊急時の対応を中心に考えている場合は、訪問・電話・駆けつけの違いも確認してください。暮らしの用事を手伝ってもらうことと、緊急時に駆けつけてもらうことは、契約上の役割が異なります。
参考情報・確認日
公的情報の確認日:2026年10月28日。作業例、比較項目、計算・保存メモは親ナビ編集部の提案です。個別の保険適用や利用できる支援は、自治体・ケアマネジャーなどに確認してください。
厚生労働省:介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い
厚生労働省:介護保険最新情報Vol.1503(2026年5月11日)
日本総研:保険外サービスを含む多様な地域資源について情報提供する際の手引き・ポイント集(厚生労働省補助事業、2026年3月)
アイキャッチ写真は確認メモを準備する場面のイメージです。掲載サービスの利用体験・作業実績を示すものではありません。Photo: Tima Miroshnichenko / Pexels

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